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さて、今日は何をしようかな。

【まとめ】夏の終わり、セットの最後に聴きたいEDMトラック

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2017年の夏も、徐々に終わりの気配を色濃く漂わせ始めた。
夏の終わり、野外の大型フェスシーズンの終わりでもある。
なんとなく8月は雨続きで、夏らしい夏が短かったような気もする。

そろそろ秋の支度も始めなければならないけど、夏が終わるというのはなんとなく寂しい気分になる。
でも、取り残されるわけにはいかない。
というわけで、夏の終わりに、セットの最後を飾るような気持ちのよい曲をまとめてみた。

締めにふさわしい壮大なスケール感と開放感を味わうトラック

Pizza / Martin Garrix (2017)


Martin Garrix - Pizza (Official Video)

EDMフェスの最高峰と言ったら、やっぱりTomorrowlandなんじゃないかと思っている。
出演者の豪華さや動員の多さももちろんだけど、やはりステージのセットや会場の環境の非日常感が圧倒的だ。
今年も、7月末に2週にわたって開催されて、動員は40万人を数えたとか。

で、今年のTomorrowlandのMartin Garrixのステージは、この新曲”Pizza”で締めくくられた。
ストリングスから始まるイントロに、ほんの一瞬、咲いては消える花火のようなドロップ。
いかにもセットの最後を飾るのにぴったりのトラックで、お腹いっぱいになるようなてんこ盛りのセットだった。

Pizza

Pizza

  • Martin Garrix
  • ダンス
  • ¥250

Tired (Steerner & Tobu Remix) / Alan Walker (2017)


Alan Walker - Tired feat. Gavin James (Steerner & Tobu Remix)

Alan Walkerは、2017年に躍進したDJの一人に数えられるだろう。
2015年にリリースした“Faded”が息の長いヒットとなっており、今年になっても至るところでプレイされるのを聴く。
さらに、今年はAlan Walker自身がTomorrowland 2017で出演を果たし、セットの最後も”Faded”のTiesto Northern Lights Remixで彩った。

目下のところ最新のリリースとなる”Tired”も絶好調で、先日Kygoによるリミックスもドロップされた。
“Tired”は、まるで紙にインクをつけて文字を綴るような、丁寧な作りに趣を感じる良曲だ。
そのSteerner & Tobuのリミックスも、原曲の情感を削ぎ過ぎずに、疾走感やスケール感を増幅して感じさせてくれる仕上がりだと思う。

Tired

Tired

  • Alan Walker & Gavin James
  • ダンス
  • ¥250

Lionhearted feat. Urban Cone (Arty Remix) / Porter Robinson (2014)


Porter Robinson - Lionhearted ft. Urban Cone (Arty Remix) (Audio) ft. Urban Cone

Porter Robinsonは、新曲のリリースがご無沙汰ではあるが、今年のUMF Japanに出演が決まっている。
日本が大好きなことでも知られるが、アーティストとしては繊細な世界観とそれを巧みに曲に描写する天才だと思っている。
この”Lionhearted”のリリースは少し前になるが、ぜひとも最後にこの洪水のような音の情景を浴びたいものだ。

Poter Robinsonといえば、昨年、Madeonとコラボした”Shelter”も記憶に新しいところだ。
Porter RobinsonMadeonAlan Walkerは、EDMにおけるエモとかそういう立ち位置だと思っている。
厨二病的な要素がないわけではないが、誰もが持つ過去のワンシーンと強烈にフラッシュバックさせる曲。

Lionhearted -Arty Remix

Lionhearted -Arty Remix

熱狂を惜しみ、余韻を味わうセンチメンタルトラック

Scared To Be Lonely (DubVision Remix) / Martin Garrix & Dua Lipa (2017)


Martin Garrix & Dua Lipa - Scared To Be Lonely (DubVision Remix)

Martin Garrixは、自身でSTMPDレコードから立て続けにFuture Bassサウンドをドロップしている。
それまでなかった音の余白には、行間にある雰囲気みたいなものを感じさせ、叙情性が存在している。
“Scared To Be Lonely”はそんなMartin GarrixのFuture Bassトラックだが、DubVisionによって残響の中で疾走感を得ている。

目をつぶって陽がすっかり落ちた夜のステージで、大勢のいる熱気とエンディングに向かう雰囲気を想像してもらいたい。
次第にエンディングに近づく中で、引き摺るそれまでの熱狂の余韻と終末の気配が混ざり合う。
いろんな気持ちや思惑が交錯する中で、寄せては返すような波のようなハイライトのようなトラックは様々な情感を思い起こさせる。

Scared to Be Lonely (DubVision Remix)

Scared to Be Lonely (DubVision Remix)

  • Martin Garrix & Dua Lipa
  • ダンス
  • ¥250

Something About You feat. Blondfire (Conro’s Ultra Music Festival Miami 2016 Remix) / Paris Blohm (2016)


Paris Blohm feat. Blondfire - Something About You (Conro’s Ultra Miami 2016 Remix) (Music Video)

子ども頃のことを思い出すと、いつもお祭りの後はどこか寂しい気持ちになったものだ。
楽しい時間は非日常で、時間区切りで取り残されたように僕たちは日常に押し戻される。
提灯や屋台が片付けられ、すっかり普段の姿に戻った神社の光景とは対照的に、上の空のような気分が数日は続いてしまう。

この曲は、そんな短いモラトリアムのような時間を表現したかのような曲だと思っている。
オリジナルはわりとタイトなBigroomチューンなのだが、Conroのリミックスが本当に空っぽの心にしみしみと沁みてくる。
エンディングは次の始まりであり、それを橋渡しするような曲があってもいいと思う。

Something About You (feat. Blondfire)

Something About You (feat. Blondfire)

  • Paris Blohm
  • ダンス
  • ¥250

Something Just Like This / The Chainsmokers & Coldplay (2017)


Coldplay & The Chainsmokers - Something Just Like This (Tokyo Remix)

少し前にThe Chainsmokersが、はたしてダンスミュージックが否かというのが話題に上ったことがあった。
確かにEDMにルーツを発する音の作りではあるが、正直踊るための音楽かといわれれば、僕はあまり自信がない。
でも、”Something Just Like This”は、そんなことはどうでもいいんだと一蹴するような、新たな可能性を提示した2017年を代表するトラックだろう。

”This is tha last song!!”なんて言われて、このイントロが流れてきたら間違いなく泣く。
そうでなくても、口をきゅっと締めておかないと、何かが溢れてきそうな気分になる
何者にもなれなかった私たちだが、その心の内側に仕舞い込んだ別の自分の小さな鼓動や息の音が聞こえるだろうか。

Something Just Like This

Something Just Like This

  • ザ・チェインスモーカーズ & コールドプレイ
  • ダンス
  • ¥250

最後の最後まで惜しみなく駆け抜ける疾走トラック

Watch Me / banvox (2015)


banvox - Watch Me (Audio) [Google Android TV Commercial Music]

夏が終わるのは寂しいけど、それなら最後の最後まで遊び尽くさないとねと言わんばかりのゴリ押しチューン。
畳み掛けるようなめまぐるしい展開と、かっさらうような音圧で、しのごの言わせないのはbanvox節とも言えるかもしれない。
海、山、川、プール、バーベキュー、花火、フェス…あらゆる思い出をごちゃまぜミックスする曲だ。

とっちらかっている思い出も、それはそれではいいではないか、と。
時間が経つうちに細かいディティールだとか、大半のことは記憶の取り出せないようなところに入ってしまう。
だからこそ、閃光のような鮮烈な思い出をいつも欲しがってしまうのは、その穴を埋めるためではないかとも思ったりする。

Watch Me

Watch Me

  • banvox
  • ダンス
  • ¥250

Waiting For Love / Avicii (2015)


Avicii - Waiting For Love

「え、明日から仕事。まじ怠い。働ける気が全然しない。」
だいたいそんなこと思っていても、夜に家に帰って、疲れた体を横にすれば、いつのまにか日常モードで再起動している。
で、次の楽しみを見つけるために奔走するのだ。

そんなことを歌っている(と思っている)歌詞を、軽快なノリで叫び切るAviciiの超絶ポジティブトラック。
盟友Martin Garrixも参加していて、ひょっとしたらポコポコひょろひょろしたシンセなんかはMartinのチョイスかもしれない。
この曲で、焼き払いたくなる日常の退屈の愚痴を叫びながら、最後の最後まで踊っていたいのだ。

Waiting For Love

Waiting For Love

  • アヴィーチー
  • ダンス
  • ¥250

Amsterdam / Jay Hardway (2016)


Jay Hardway - Amsterdam (AMF 2016 Anthem) [Official Music Video]

こういうど直球なEDMトラックは、いつ聞いても走り出したくなるものだ(寝起き以外)。
いちばんの山場でかけるような曲だけど、エンディングでついついおかわりしたくなってしまう。
このチョイスは、完全に僕のフェイバリットというだけの理由だけど。

例えば、自分の車がPanamera Turboだったら、通勤の運転も少しは楽しく思えるかもしれない。
重心の低いシートに、右足から伝わるエンジンの振動とイグゾーストノートの共鳴。
でも、そんなんじゃないから、クラブとかではこういう曲でエンディングまで走り通して、つまらないことを忘れるのだ。

Amsterdam (AMF 2016 Anthem)

Amsterdam (AMF 2016 Anthem)

  • Jay Hardway
  • ダンス
  • ¥250

エンディングはアンセム大合唱で一体感を感じる

Don’t You Worry Child feat. John Martin / Swedish House Mafia (2012)


Swedish House Mafia - Don't You Worry Child ft. John Martin

Axwellは、今年のTomorrowlandの最後に、かつて在籍したSwedish House Mafiaのこのキラーチューンを使った。
それも、Axwell Λ Ingrossoの”Sun Is Shining”とマッシュアップさせちゃうという、200%増量バージョンだ。
まさに、盆と正月がいっしょに来たレベルの、汗も涙も涎も垂れ流すような壮大なクライマックスだった。

“Don’t You Worry Child”は、マナーに忠実なプログレッシブハウスに、よく伸びるJohn Martinのボーカルがどこまでも気持ち良い。
それに、リリースから現在まで定番として流され続け、2010年代のEDMの台頭を見て来た人なら誰もが口ずさめる超特大アンセムだ。
これが流れて歌わないのは、サライの流れない24時間テレビみたいくらい味気ないだろう。

Don't You Worry Child (feat. John Martin)

Don't You Worry Child (feat. John Martin)

  • スウェディッシュ・ハウス・マフィア
  • ダンス
  • ¥250

Alive (Zedd Remix) / Empire Of The Sun (2013)


Empire Of The Sun - Alive (Zedd Remix)

セットの最後を飾るアンセムは、最新のヒット曲が使われるというわけではない。
Axwellもそうだが、往々にしてキャリアのターニングポイントだったり、重要な位置付けの曲が使われることがあったりする。
今年のUMF MiamiでのZeddのセットでは、Empire Of The Sunのヒットシングル”Alive”のZedd Remixを使っている。

2012年から2013年というと、Zeddは”Spectrum”や”Clarity”をリリースし、大躍進を遂げたタイミングである。
ノリに乗っているタイミングでの作品には、何年もの時間を吹き飛ばすくらいの強烈なパワーがあるんどと感じさせられた。
ちなみにリリース当時は、David GuettaやM4SONICのリミックスをよく耳にした記憶がある。

Alive

Alive

  • エンパイア・オブ・ザ・サン & ZEDD
  • ダンス
  • ¥250

Titanium feat. Sia (Alesso Remix) / David Guetta (2011)


Titanium feat. Sia - David Guetta Alesso Remix

いまになって考えてみれば、David Guettaの曲でSiaが歌って、それをAlessoがリミックスするなんて、美味しすぎるだろ。
原曲にある丁寧にまとめられた出だしのギターが整然としたエントランスとなり、超高層ビルの最上階へ直通するようなエレベーターにのって、外の摩天楼を眺める。
扉が開いたその先には、身を乗り出してずっと眺めていたくなるような景色が広がっているというイメージの曲。

リリースから6年も経っているのだが、David Guettaは、今年のUMF Miamiのセットのラストをこの曲で飾った。
オリジナルのシングルは、アメリカで350万以上のセールスを記録し、誰もが耳にするポップスとしても顕著な成功を収めている。
高揚感とエナジーに満ちたこの曲は、いまなおアンセムとして輝きを放ち続けているなと思い知らされる。

【まとめ】ありがとう、2017年の夏

やっぱり、DJのセットの最初と最後というのは、非常に重要なものだと思っている。
多くのアーティストが渾身の一曲を持ってくるわけだが、そのパワーには、踏ん張らなければ吹き飛ばされてしまいそうだ。
こうしてまとめてプレイリストを作って聞いていると、本当にお腹いっぱいになってしまう。

だんだんと風は涼しくなってきて、夜はひんやりとするような日が増えてきた。
そろそろ夏が終わるというタイミングで、夏の思い出や出来事をこうした曲を聴きながら振り返ってみるのも風情かもしれない。
そうして、少しずつしたたかにやってくる次の季節への準備をしなくてはならないと感じる今日この頃。